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第8回『糺の会』シンポジウム要約(2)

第8回『糺の会』シンポジウム要約(2)


総合司会 では続きまして、忠岡信彦先生をご紹介させていただきます。忠岡先生は市川市で胃腸科医院を開業されておられ、特に胃癌の診断・治療を専門とされておられます。忠岡先生、宜しくお願い致します。
忠岡 ご紹介有難うございました。今回私も困ってしまいまして、タイトルが荒牧先生が仰ったように大きなものですので、これからディスカッションに入る準備として、基礎的なことを解説するという形で私の役目を終えたいと思います。
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前回、医療関連のシンポジウムのときに、平野先生が最後に「というわけで、日本の医療は崩壊しました」というふうに終わりました。本当に日本の医療は崩壊したのかなと思いまして、これは厚労省のホームページからもってきたものです。
ご存知のように日本は平均寿命も、医療水準も一番高いものを備えています。アメリカやイギリスと比べても、平均寿命で4~5年高くなっています。4~5年というのは、なかなか馬鹿にならない数値でして、癌が仮に征圧されたとしてやっと平均寿命が4年前後延びるといわれていて、これはかなりの時間です。
これを支えてきたのが、「国民皆保険制度」と厚労省は言っています。
同じようなことは、医師会のホームページにもありますが、それによると「医師の努力によって達成された」と書かれています(笑)。

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「国民皆保険制度」というのは、文字通り、国民全てが何らかの保険に加入して、結果として同じ医療を受けられて健康に過ごすことが出来る、こういうシステムです。これには公的な、税金がかなり投入されて成り立っています。

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皆様ご存知と思いますが、保健医療制度のしくみをもう一度おさらいしておきます。
患者(被保険者)は、保険証を示して診療を受けます。1割、3割あるいはゼロの方もおられますが、自己負担分を払って診療を受けます。医療機関は、保険者に診療報酬を請求するというシステムです。

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日本の保健医療制度の特徴を、厚労省のホームページにあるものからご紹介します。

国民全員を公的保険制度で保証
日本で暮らしていると、余り気がつかないのですが、アメリカでは6人に1人はまったく保険に入っていません。5000万人ほどが、無保険状態です。
そういう国もあるわけです。
TPPの問題をこれから論じるかも知れませんが、アメリカの医療が導入されると、結果としてそういうことを覚悟しなくてはいけない。

安い医療費と自己負担率(12.7%:平成22年度)

医療費そのものは、欧米と比べると日本は安く設定されていると言われています。
単純計算ではアメリカの2分の1と言われています。自己負担率が12.7%と書かれていますが、たとえ1000万円医療費がかかっても、自己の医療費は8万円を上限としていますので、比較的安心して医療が受けられます。

社会保険制度を基本に公費投入して皆保険維持

社会保険制度を基本にしているのですが、それだけでは成り立ちません。それには保険以外の税金を投入して国民皆保険が維持されています。ここが将来問題になってくるかも知れません。

フリーアクセス(医療機関を自由に選択可能)

医療機関を自由に選択ということも、私たちは普段、日本で暮らしていると意識しないかも知れませんけれども、たとえば、アメリカではプライベートに保険に入り、そこが指定する医療機関で診療を受けることになります。イギリスでは先ず、地域ごとに登録された家庭医を経ないと病院にかかれません。
日本では、天皇陛下を手術された医師の診療を受けたいと思えば不可能ではありません。

質が高く、全国で均一な医療水準

少なくとも、移植医療以外で医療のために外国に飛行機で行かれる方はあまりいないと思います。
また、地域差も、たとえば、九州の方が心臓の治療を受けるために東京に出てこなくてはいけないとか、この病気は大阪の○○病院に行かなくてはいけないとか、稀な例外は別として、基本的にはありません。
まして、治療を受けに、中国や韓国に行くということは基本的にはありません。
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ということを考えますと、わが国の医療水準は決して悪くない、と言えると思います。
ところが、今後急速に高齢化が進んで医療費が増えていく中、いかに国民皆保険を持続するかが非常に問題になりそうです。米国型の医療でこれを解消するのか、これから議論・テーマになるかと思います。

スライドお願いします。
これは厚労省が示している一つの解決策です。地域を包括するケアで、人口1万人程度の町で自助と扶助、在宅で自分たちで出来ることはする、トータルで医療費の節約をしようというものです。実際、柏市がモデルになって始まっています。
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スライドお願いします。
次はこれからディスカッションする中の、テーマを書いてみました。
現在、医療情報があまりに氾濫しております。
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私も診療の中で、このサプリは飲んで良いか、効くかとか、こういう健康法はどうか、こういう薬を飲んでいるがどうかとか聞かれます。医療情報をどう管理していかなくてはならないかが問題になっています。

スライドお願いします。
これは最後のスライドになりますが、医療の世界では今、盛んにEBM: evidence-based medicine (根拠にもとづいた医療)という言葉が言われています。
これは臨床試験の結果に基づいた信頼できることでないと根拠がない、という意味です。例えば、乳癌の手術の後に抗がん剤を何を入れたらいいかとかいう場合に使います。これは先ほど話しましたいろいろな医療情報を判断する、一つの指標になります。
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過去の個人経験、過去の習慣、権威の意見、あるいは生理学的根拠等々、こういうものは実は根拠になっていません。
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何故ならば、思い込みということがどうしても抜けません。
医者の方もそうですし、患者一人ひとりの方も同じです。
少し、時間をオーバーしてしまいましたが、これについては後ほど時間がありましたらお話ししたいと思います。(拍手)

総合司会 忠岡先生、有難うございました。これから議論していく基礎知識をいただいたような気がいたします。
では続きまして、平野明夫先生お願いいたします。
平野 このシンポジウムでは皆様から2000円という貴重なお金をいただいています。したがって、何らかの得ることがあるような会にさせていただくように心がけますので、皆様、宜しくお願いいたします。
スライドお願いします。
スライド22

千葉先生から、「平野の言うことはエキセントリックなので問題点を絞り出してくれ」と言われ考えてみました。どの問題も、これまでこの会で考えてきたことと、どれも関係することが多いのです。
先ず、
高齢化社会
お金の問題は避けられなく、介護保険の問題が生じてきます。
「要介護」というのは皆様ご存知と思います。1から5まであります。今後は「要支援」の1,2はお金がおりなくなります。これは国にお金がないから

です。かかっているお医者さんなり、ヘルパーさんにご相談しておいた方が良いかと思います。

家族問題
今からかつての大家族制に戻ろうと思っても無理です。私も祖父母とは途中から離れて住んでいました。核家族という言葉は「死語」になってしまいましたが、これは完成されたんですね。医療問題と家族問題は、誰が面倒をみるかというように、密接に関係がでてきます。これについては、非常に深いことですから、この場でお話しするのは難しいと思います。

環境問題
環境問題といっても広いのですが、分かりやすいことをあげますと、最近の「放射能」があります。
あるいは中国からのpm2.5といった怖ろしい有害物が飛んできています。結果として病気になる可能性がありますから、これについても考えなくてはいけません。

TPPと自由化の問題
先ほどの忠岡先生のお話にもありましたが、TPPと自由化の問題、これも政治家やお役人に頑張ってもらわないといけません。交渉というのは私たちがただ、ああしろ、こうしろと言っても何も動くことではなく、政治家、役人の力にかかっています。では日本の社会は何によって成り立っているのでしょうか。皆さんは、何によって生きているのか。仕事ですね。そう考えると飲むべきところは飲まないといけないと言うことはおわかりになると思います。自由化というのは、ある程度は致し方ないのではないかと思います。
グローバル・マーケットを相手にしていかざるをえないのです。
個人的にはある程度自由化やむなしだろうということと、風通しが良くなるかなと思います。

医学教育
次の医学教育のことですが、研修問題とかと絡みますが、こういう話があります。
若い医者の指導医をやっていたとき、その医者が眠っている患者さんから採血したことがありました。私が看護婦さんから呼ばれ、怒鳴り散らされました。「眠っている患者さんに針を刺したんですが、どうにかしてください」と。解決策はあるのかというと、もう一回生まれ直してくれとしか言いようがありません。医者の社会、教育も多少他とは異なるものがあります。

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地域格差
地域格差の問題ですが、地方から出てきた優秀な医者はたくさんいますが、地元に帰ろうとしません。何故かと
いうと、職業選択の自由、住居の自由という基本的人権に関わることです。
地方の公立高校を優秀な成績で卒業し、東京の優秀な大学に入った人間に、地元で働けと強制することはできませんよね。
近頃言われる格差の中で、一番の問題は教育の格差だと思います。田舎でのんびりと医者の生活をするのもいいかな、と個人的には思ったりすることもありますが、現実には家庭・家族のこともあるわけです。

先端医療
先端医療の問題について。あまり日本で良いニュースがなかったんですが、山中先生がノーベル賞を受賞しました。忠岡先生のお話にもありましたが、日本の医療、研究レベルは非常に高いものを維持しています。
ただ、それがいきなり降りてくると思うのは大間違いだということと、非常に高いお金、経費がかかるということです。非常に時間がかかります。

終末期医療
終末期医療についてですが、いざとなったらどうしようか、自分が死にそうになったらどうするかということを前もって考えておかないと無理です。

代替医療 サプリメント
代替医療、サプリメントについて。これによって商売が成り立っているわけです。ニーズという嫌な言い方をしますが、必要な人が飲めばいいのであって、必要かどうかは人によって違います。常識で判断してほしいと思います。

消費税と医療経済
医者が儲けてはいけないのか、という問題があります。確かに医者の収入は他よりは少し多いと思いますが、できるだけ公平な医療を心がけたいと思っています。患者のたらい回しについては最近、あまり言われなくなりましたが、これはあってはならないことと思っています。

以上、いくつか問題点を上げてみましたが、解決策は何かということです。
スライド、お願いします。
スライド33
医療の問題は他の問題と密接に関わっています。医療の問題だけ是正すれば、世の中の問題が丸くおさまるということは一つもありません。良いか悪いか別にして、社会の変性と関連しているわけです。周りが変わっていくと、医療も変わっていきます。医療だけの問題ではないということ

です。
そして、基本というのは「地獄の沙汰もカネしだい」です。今の日本には基本的にはお金がありません。
時間ですので話をまとめてしまいますが、先ほど自由化は避けられないと話をしました。ですが、患者さんは弱い立場、弱者です。弱肉強食の競争社会に弱者が馴染むのか。患者さんがお金を持っているかいないかで競争させるか、と考えると実際それは馴染まない問題だと思います。
医療は国の社会保障の根源ですから、ある程度の、最低限のレベルの医療までは国が保障しなくてはいけない。
ただ確立されていないような高度先進医療みたいなものについては、お金を自分で払える人の特典としてやむを得ないかなと思っています。

最後に言いますけれども、『糺の会』の皆さんとは高校を卒業して以来、仲良くしていただいているのですが、
一番良い友人とは何かとある人物に聞きました。ご存知のように徒然草にあります。
良き友とはものくるゝ友、二番目には醫師(くすし)、そして一番大切な友人とは、智惠ある者と言っています(註) 。先ほど千葉先生が言いましたように、一番大切なのは「智恵」であります。
思考停止してしまっては、こういう問題に何も対応できないと思います。
何でもそうなのですが、自分の身近にあることから考えると一括して考えることが出来ると思います。例えば、家庭にいる人ならば家庭から医療問題を考えることが出来ます。経済人であれば、経済の方から医療問題を考えることが出来ると思います。
今日は皆様に、身近な立場からものごとを考えていただければ、かなりの解決の糸口が掴めると思います。
是非、そういう方法で今日は考えてみていただきたいと思います。
長くなってすみませんでした。(拍手)

総合司会 平野先生、平野節有難うございました(笑)。ここで平野先生をご紹介させていただきます。平野先生は松戸市で内科の開業医をなされている中、慈恵会医大でも抗癌剤治療外来もご担当されております。
それでは、先生方に各々のお話をいただきましたので、ここでから千葉先生の進行で、座談会の方に入らせていただきます。

(註)よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには醫師(くすし)、三つには智惠ある友。 (百十七段)

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Appendix

プロフィール

marchan

Author:marchan
千葉 糺(ちばただす)
1947年生

東京理科大学大学院修了(数学・複素関数論専攻)
平成14年~18年度学習院中等科長・高等科長。任期満了の後、学習院高等科教諭(平成19年~24年度)を経て
学習院名誉教授。

(写真は雑誌『Shi-Ba』V.43
から。黒柴マーちゃん,
愛猫いっちゃんと)

国画会彫刻家 故・千野茂氏にデッサンを学び、その後テンペラ画を中心に個展、グループ展等開催。

時間を見つけて谷中「全生庵」坐禅会参加。日本ユダヤ学会会員。
2007年、イスラエルを中心に旅行。


最近の紀要論文
(1)『イエス・千日で世界を変えた男の受難』─「『事実』と『真実』というaporia」─
学習院高等科紀要第5号(学習院高等科 2007年)

(2)『イスラエル・灼熱の旅 リポート』─荒野の民から学ぶ─
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)

(3)『ナザレのイエスはキリストか』=二千年前の一ユダヤ人の死をめぐる過ぎ去ろうとしない「過去」=
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)
(4)『ユダヤ灼熱の旅リポート2』
─平和ボケの民と臨戦態勢の民─
学習院高等科紀要第7号(学習院高等科 2009年)
(5)『聖書への旅』─「生きること」の意味を探して≪マタイ受難曲を聴きながら≫─
学習院高等科紀要第8号(学習院高等科 2010年)
(6)「パリサイ派とは何か」─現代に問う
補遺 聖書を側面から理解するために
学習院高等科紀要第9号(学習院高等科 2011年)
(7)─横顔・一七世紀オランダ絵画・印象派─西洋絵画についての一考察
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(8)聖書が私に教えてくれること
─『イザヤ書』、コルベ神父、そして山本七平─
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(9)四十年を振り返る
学習院高等科紀要第11号(学習院高等科 2013年)
(10)『院歌の周辺』 ─安倍能成 信時潔 岩波茂雄 頭山満─(学習院高等科 2014年)
(11)『ヘブライ語で学ぶ創世記Ⅰ』「ノアの箱舟」
(12)『これからの教育はどうあるべきか 数学者・秋山 仁先生との対談』(学習院高等科 2015年)
─ 今まさに問われていること ─
(13)『国際化とInternationalizeの狭間で』
─その大いなる溝─(学習院高等科 2015年)
(14)『これからを生きるために』─未来志向の経営の理念─(学習院高等科 2016年)
(15)『地球儀を傍らに』─教職追放 地政学 国際法 民主主義─(学習院高等科 2016年)

(写真は死海での筆者,
シナイ山頂での夜明け)

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