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『一代限りの生命』 第三楽章

『一代限りの生命』

第三楽章


─数多くのご協力のもとに─


手元にある『音楽事典』によると、本来、交響曲の第三楽章はメヌエットかスケルツォ形式であると記され、諧謔的感じから始まって、後には絶望や怒りを表現したと書かれています。

1 「適切な管理」

(「野生の」というよりは)野良犬や野良猫の「適切な管理」という言葉・表現について初めに考えてみます。というのは、この言葉を思いついた人は、無意識だったのかもしれませんが、実はこの言葉こそ現代社会を象徴しているような気がするからです。
「適切な管理」が、「各々自宅で飼いましょう」という呼びかけを意味することは「絶対に」あり得ません。
自分の周辺から消え去ることを望んだものであることは確かです。
ただ、そこから先、実験用に、あるいは三味線に「有効利用」する、殺処分する等々具体的には言わない、あるいは考えていない。何故なら、考えるのは自分たちの義務ではないからと。
行政か誰かが考えれば良いことであって、自分たちの住みやすい住環境を得るという基本的権利を侵されるのは困るのだと言います。
考えない。考えることからの逃亡です。これは現代社会のあちこちで起きている非常に危険な現象です。国の衰亡に関わることと言っても、決して大袈裟ではないでしょう。
東日本大震災があっても日本はまだまだ、世界でも有数の、長期の平和と物質的豊かさを誇ることのできる国です。ですが、その目的に到達すると共に、自身で考える力、苦しみに耐える力、善悪を超えて冷静に正視する力等々を失ってきたと思われます。
自分は考えなくても、他の誰かがやってくれると思うようになり、予想できないことが起きれば、「想定外」と位置づけ、対応策も考えない。
そもそも「予定通り」の人生などあるはずがないことさえ、はっきり教えません。世の中に「公平」などあるはずがないのに、大の大人が認めません。「ユートピア」という言葉は「ウ」(否定)+「トポス」(場所)つまり「あり得ない場所」という意味ということも知らない人が多いのではないでしょうか。
すべてが相対です。人と比べてなのです。これも、偏差値教育が徹底した成果でしょうか。

2 捕獲に向けて
全猫を保護することに決めても、いざその捕獲手段・方法についてはまったく分かりません。「くるくる」を除けば、皆、子猫ですから、笑われるかも知れませんが、虫取り網で追いかけたりもしました。うまく網の中に入れても、必死で逃げてしまい上手くいきません。

素人ではこれは駄目だと思ったとき、以前(昨年6月)、本ブログで『一体、何が起きたのか?訴え続けるつぶらな目、目、目』という題でご紹介した大網直子さんを思い出したのです。
ボランティア団体「福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト」の
チームリーダーです。

リーダー

東日本大震災直後から、被災動物の保護活動を行っている大網直子さんは、現在はボランティアの方々と協力しながら、自宅とシェルターで100頭近い動物たちの世話をしています。
最近の大網さんについて、雑誌『猫ぐらし』vol.6に次のように紹介されています。

(福島第一原発事故によって被災した動物を)救助した動物たちは、里親が見つかるまで自宅やシェルターで保護。
現在、自宅には40匹の猫と7頭の犬、シェルターには48匹の猫がいて、大網さんや個人ボランティアがその世話や里親探しをしています。


そこには、何十頭もの犬猫の世話や、里親探しをしている大網さんの多忙な1日が紹介されています。

AM6:30 犬の散歩
犬のなかには甘えん坊もいます。しかし、多くの犬がいるため、どうしても愛情が分散することに。そこで散歩は1頭ずつ20~40分かけます。早朝は2~3頭散歩に連れて行くのが基本。



AM9:00
エサやり、掃除、犬の散歩
猫や犬たちにゴハンを与えます。たくさんいるため、ボランティアと手分けして与えるのが基本。その後、1階に15個、2階に8個あるトイレを掃除。それが終わると、早朝とは別の2~3頭の犬を1頭ずつ散歩させます。

餌やり01

AM11:00
腎臓病の犬に点滴
保護した犬のなかには、腎臓病を患い点滴が必要なコも。エサやりやトイレの掃除などが終わって落ち着いたころ、点滴をします。



PM1:00
シェルターに移動
自宅から車で約15分の場所にあるシェルターに移動。ボランティアから猫に関する報告を受けます。



PM2:00
お見合いの立ち会い
シェルターにやって来た方に、お目当ての猫を見てもらいます、里親を希望する場合は、面談して家庭環境などを詳しく聞きます。



PM4:00
里親宅へ猫をお届け
里親になる方の家に猫をお届け。この日は子どもが2人いるにぎやかなお宅でした。ちなみにお届けは、大網さんかベテランのボランティアが行い、環境に問題がないかチェックします。



PM6:00
再び犬の散歩へ
犬の散歩は1日2回。朝と同じように1頭ずつ20~40分かけて行います。



PM8:00
エサやり、掃除
猫や犬に晩ゴハンを与えます。
また、40匹もの猫がいてすぐにトイレが汚れるため、その掃除もします。



PM9:30
里親などとメールのやり取り
里親希望の人や、里親とメールをやりとりします。元気に暮らしている猫や犬の写真を送ってきてくれる里親もいるそう。



こういうスケジュールの超多忙な方、共通の知人を介して私たちの現状を伝えていただきました。6月9日(日)早速、お電話があり状況を説明。
12日(水)ボランティアさん(以下、ボラさん)と一緒に、捕獲作業に来てくれることになったのです。前日から空腹状況にさせておくことを指示されました。

3 捕獲作業
1)6月12日
雨の12日、午後、横浜から来てくれた大網さん、ボラさんと私たち夫婦計4人で打ち合わせをし、庭や周りの数カ所に捕獲器が設置されました(写真を撮る時間がなかったので、捕獲器のことは写真集から転用させてもらいます)。
捕獲器01
(被災地での捕獲作業1)

雨の中、2時間半あまり、お二人がてきぱきと行動し、私たちは見ているだけ。その間に、両母猫を含め5匹が捕獲器に入り、わが家に保護されました。各々、ケージに入った状態で初めて人間の家屋に入ったのです。まだ6匹、どこかで鳴き声がときどき聞こえてきます。母親を求めてでしょう。フクちゃんは授乳期間でもあり、心配だと話すと大網リーダーからは「3日以内には必ず捕獲できます」という返事。15日の横浜の動物病院の予約も入れてもらいました。
捕獲器02
(被災地での捕獲作業2)

母猫くるくるは一足先に大網さんたちに連れられて、横浜の動物病院に行くことになりました。ボラさんたちが協力してくれているとは言え、100匹の猫や犬の世話をしていることに頭が下がります。
帰り際、お茶を飲んでいる間、いっちゃんはリーダーに撫でられ続け、姫はどこかに隠れたまま、最後まで姿を見せませんでした。
-001.jpg
(大網さん、ボラさんといっちゃん)

捕獲器を2箇所に設置して、この日の作業は終わりました。大網さんたちが帰った後、どこかに隠れていた姫が現れ、妹フクちゃんや、(多分異父)兄弟姉妹をケージの外からじっと見ていました。その間、マーは一声もあげずにじっとしていました。

2)6月13日,14日
「くるくる一家」5匹中、母親を先頭に4匹は当日捕獲され、残りの1匹も空腹に耐えかねて二日目(14日)の夜に捕獲器に入り、保護されました。ヤングママ・「フクちゃん一家」6匹中、フクちゃんと子猫4匹も、14日までに捕獲器に入って保護され、残りはフクちゃんの子猫・1匹だけ。
捕獲した猫は2つの大きめのケージに各一家ごとに分けて「収容」したのですが、超過密状態です。
15日(土)は病院の予約を入れているのに、捕獲器に入らずに空腹と母親フクちゃんに会いたさで極限状態の子猫が1匹、微かな鳴き声がどこかから聞こえて来ます。
餌に釣られない最後の子猫捕獲のため、ヤングママ・フクちゃんを一旦、放すことにしました。母猫のそばに寄って来て、捕獲器に入るだろうと。
結果、捕獲器に入っていたのはフクちゃんの方でした。何とフクちゃんは2度も捕獲器の中の餌を目当てに入り、収容されたのです。やはりヤングママなのでしょう。
ちなみに、ご近所の大型猫も捕獲器の餌を求めて入ってしまい、驚きもせず堂々と中に寝そべっていました。

bw01.jpg
(捕獲器に入ったご近所の猫(大きい!))

病院に行く当日早朝、最後の1匹は家内が素手でお隣の庭にいたところを捕まえ、これで全猫が保護されました。

この一連の出来事に、マーやいっちゃん、それに姫の反応も記しておきます。
マーは吠えもせず、堂々としたものでした。
ma-01_20130723095037.jpg

いっちゃんも大網さんやボラさんに可愛がられて翁猫ぶりを発揮していたのですが、「想定外」は姫の反応でした。
自分の親(くるくる)、妹(フクちゃん)、(おそらく異父)兄弟、甥姪(フクちゃんの子どもたち)が次々に捕獲され、部屋に置かれたケージに入るのを、リビングのどこかで隠れて見ていて、絶対に出て来ないのです。人間なら自分を捨てて、妹だけを可愛がる母親をどう思うでしょうか。母親はケージから娘・姫に「猫パンチ」を浴びせようとさえするときがありました。それに絶対に反抗せずに、じっと座っている姫。
いろいろと考えさせられる三者三様の光景でした。

大網さんの善意で「里親探し中」という扱いで、11匹のウイルス検査を含む健康チェック、性別検査、フロントライン、くるくるの避妊手術等を親切で丁寧な診察と非常に安い費用で無事にすませることができました。11匹を2つのケージに入れて帰路に。
これからケージの11匹、室内のいっちゃん、姫計13匹の猫、それと黒柴マーとの生活が始まったのです。

書店で目が合ったために手にした写真集『ゴン太、ごめんね。もう大丈夫だよ』から知ることになった大網リーダー。子猫と目が合ったために「助けたい」と思った家内。
この「目が合う」というのは、どちらもきわめて主観的なものであり、独りよがりとも言われるでしょう。客観性・論理性がないと。ごもっともです。
ですが、「論理」というものの初めにある「前提」になるものは、決して客観・論理からは生まれないことだけは述べておきます。「前提」は主観的・経験的・帰納的なことから生まれるということを。

第三楽章として、捕獲作業の顛末を記しました。大網さんたちを初めとして、ご近所の方々、数多くの人たちのご協力の賜です。
読者の方々には、退屈な内容だったと察します。ただ、どうしてもこの経過は記録として残しておきたかったのです。
私は昨年の紀要論文の中で、「トサフィスト」ということについて山本七平先生から学んだことを書きました。

文化の中心の、基本的なある一つのものに、意見を加えていく。これをやっておくと、時間的に、自分たちが、過去から現在までどういう発想の道をたどってきたのかということが一目でわかる。本文は残し、解釈・意見を付け加えていくことによって、解釈の変遷を辿ることが出来るという発想です。


というようなことを述べました。野良猫を捕獲・保護したことを、こうして記録しておいても無意味かも知れません。ですが、トサフィスト的に残しておくことも大切なような気がしたからです。
最後に通称「動物愛護法」の総則の一部を載せておきます。

動物の愛護及び管理に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。
(基本原則)
第二条  動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
(普及啓発)
第三条  国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、前条の趣旨にのっとり、相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。 (以下略)

第四楽章は最終楽章、いわば曲の総括のはずですが、聴いていて何となく力み過ぎているような気がすることがよくあります。そうならないように心がけて、次回は第四楽章に入ります。

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Appendix

プロフィール

marchan

Author:marchan
千葉 糺(ちばただす)
1947年生

東京理科大学大学院修了(数学・複素関数論専攻)
平成14年~18年度学習院中等科長・高等科長。任期満了の後、学習院高等科教諭(平成19年~24年度)を経て
学習院名誉教授。

(写真は雑誌『Shi-Ba』V.43
から。黒柴マーちゃん,
愛猫いっちゃんと)

国画会彫刻家 故・千野茂氏にデッサンを学び、その後テンペラ画を中心に個展、グループ展等開催。

時間を見つけて谷中「全生庵」坐禅会参加。日本ユダヤ学会会員。
2007年、イスラエルを中心に旅行。


最近の紀要論文
(1)『イエス・千日で世界を変えた男の受難』─「『事実』と『真実』というaporia」─
学習院高等科紀要第5号(学習院高等科 2007年)

(2)『イスラエル・灼熱の旅 リポート』─荒野の民から学ぶ─
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)

(3)『ナザレのイエスはキリストか』=二千年前の一ユダヤ人の死をめぐる過ぎ去ろうとしない「過去」=
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)
(4)『ユダヤ灼熱の旅リポート2』
─平和ボケの民と臨戦態勢の民─
学習院高等科紀要第7号(学習院高等科 2009年)
(5)『聖書への旅』─「生きること」の意味を探して≪マタイ受難曲を聴きながら≫─
学習院高等科紀要第8号(学習院高等科 2010年)
(6)「パリサイ派とは何か」─現代に問う
補遺 聖書を側面から理解するために
学習院高等科紀要第9号(学習院高等科 2011年)
(7)─横顔・一七世紀オランダ絵画・印象派─西洋絵画についての一考察
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(8)聖書が私に教えてくれること
─『イザヤ書』、コルベ神父、そして山本七平─
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(9)四十年を振り返る
学習院高等科紀要第11号(学習院高等科 2013年)
(10)『院歌の周辺』 ─安倍能成 信時潔 岩波茂雄 頭山満─(学習院高等科 2014年)
(11)『ヘブライ語で学ぶ創世記Ⅰ』「ノアの箱舟」
(12)『これからの教育はどうあるべきか 数学者・秋山 仁先生との対談』(学習院高等科 2015年)
─ 今まさに問われていること ─
(13)『国際化とInternationalizeの狭間で』
─その大いなる溝─(学習院高等科 2015年)
(14)『これからを生きるために』─未来志向の経営の理念─(学習院高等科 2016年)
(15)『地球儀を傍らに』─教職追放 地政学 国際法 民主主義─(学習院高等科 2016年)

(写真は死海での筆者,
シナイ山頂での夜明け)

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