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金美齢対談要約(1)

『糺の会』対談要約(1)

「金美齢先生と考える、過去・現在・未来」


4月7日アルカディア市ヶ谷(私学会館)で行われた、金美齢先生との対談の要約(1)を配信いたします。
当日は、約70名という多くの方々のご参加をいただきました。

01


総合司会
本日は4月新年度のお忙しい中、大勢の皆様にお集まりいただきまして、誠に有難うございます。
ただ今より、NPO法人『現代社会を糺し未来の扉を開く会』、通称『糺の会』の「第5回総会」を開催させていただきます。
私は、本日の司会を務めさせて頂きます田中と申します。不慣れな点も多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日の総会は、ゲストに皆様おなじみの金美齢先生をお招きし、「金美齢先生と考える過去、現在、未来」というテーマで進行してまいりたいと思います。
 ご承知の通り、激動の時代を熱く生き抜かれてこられた金先生のご発言には、心に響くものがあります。そして何より日本を、日本人を愛してくださっているお気持ちが伝わってまいります。
 今日はどんなお話が聞けるか楽しみでございます。皆様ご期待いただきたいと思います。
では、本日の流れについて簡単にご説明させていただきます。

02


 冒頭、理事長千葉糺よりご挨拶申し上げた後、第1部といたしまして、金先生に「日本のこの一年」について、ご講演をいただきます。
 そして第2部では、本日のテーマにもとづいて、金先生と千葉糺の対談を行わせて頂きます。最後には質疑応答の時間も設けております。
それでは、まず初めにして、「糺の会」理事長 千葉 糺よりご挨拶を申し上げます。
 そして引き続き、千葉より金先生をご紹介させていただき、第1部に入らせていただきます。

理事長挨拶
本日はご多忙の中、私たちの『現代社会の問題を糺し未来の扉を開く会』にお越しいただき、有難うございます。今回は、昨年震災で開催を断念・延期した金美齢先生をお招きしての会となります。このような小さな会に超ご多忙の中、お時間を割いていらしていただいた金先生に深く御礼申し上げます。

よく知られているように、ルース・ベネディクトが『菊と刀』という本の中で、「日本は恥の文化であり、日本人は受けた恩や義理というものを重大な概念として持つ民族である。恩という漢字も、義理という漢字も中国から渡ったものだが、意味が中国と大きく異なる」と指摘しました。
それから66年経ちました。
この度の大震災では、93の国・地域、国際機関から寄せられた義捐金や救援物資は約175億円ですが、これに含まれない台湾は単独で200億円超という群を抜く世界トップの義捐金を寄せてくれました。それに対し、日本政府は正式な謝意は表していません。さらに、先月(3月11日)政府主催の一周年追悼式典では、台湾の台北駐日経済文化代表が指名献花から外され、二階一般席に座らされるという非礼・裏切り行為を行いました。中国に気を遣い恐れるあまり、「恥の文化」でもなく、「恩」という言葉も中国で用いられているものと同様の意味になっています。
金先生は台湾の方々に義捐金を呼びかけていただき、多大なご尽力をしておられます。会の冒頭で、台湾への厚い謝意と、日本の非礼を深くお詫びを申し上げさせていただきます。

昨年、日本を襲った未曾有の大地震、大津波、そして複数の原発事故から1年が過ぎました。亡くなった方々、そして今も行方の分からない方々は1万9000人に上ります。立ちすくんだままの1年だったような気がしますが、それでもこの1年間で、大きな代償を払いながら、また現時点でも私たちは何かを学び、同時に悩んでいると思います。
その一つは日本という国の未来についてです。どうなっていくのか、どうすればいいのかと悩んでいると思います。
一方で、現在の私たちの生活は、所謂「押しボタン型」生活に染まりきっています。押しボタンを押すだけで、テレビやインターネットを通し世界中をあちらこちらと覗き込むことができる。ボタンを押すだけでパンが焼け、ご飯が炊け、洗濯物が仕上がり、部屋が涼しくなる。街角ではやはり、ボタンを押すだけで、自動販売機から煙草や罐ジュースや週刊誌が飛び出してくるし、切符を買うだけで飛ぶ機械や走る機械が自動的にどこへでも連れて行ってくれます。
この押しボタンの世界はブラック・ボックスの世界です。この世界のなかで生きていくのに、ブラック・ボックスのなかの仕組みがどうなっているのか、などという厄介な問題について頭を悩ますことは不必要です。必要なことは、どのボタンを押せば、どういう便益が得られるのかということ、つまり、インプットとアウトプットの一覧表だけです。
驚くべき技術の発達、物質的豊かさの増大、都市化、情報化の進展と教育の普及など高度現代文明がもたらした恩恵が、皮肉にも思考力、判断力の全般的衰弱と幼稚化傾向だったと言えます。
ですから、この先、どうしたらいいのかを考えることが出来ない人間が多いのです。
「賃金は大幅に上げろ、物価は大幅に下げろ」「税金は減らせ、しかし、社会福祉は大幅に増やせ」「脱原発だ、しかし、停電はダメだ」という。
調子のよいブラック・ボックスは、到底作製不能だといっても、「そんなことを考えるのはわれわれの仕事ではない。われわれの仕事はとにかくボタンを押してこのおもちゃで遊び続けることなのだ」と。まるで駄々っ子です。

恐らく近代史上、あるいは数十年後の日本史上「2011年、あのとき日本はボキンと折れた」と書かれるであろう大地震、大津波、そして原発事故から1年経っても瓦礫処理がたった6%程度しか出来ていない現実。
一方で、1999年台湾大地震の際の、当時の李登輝総統の対応の違いはどこから来るのか。このことについては、後ほど対談で触れさせていただきます。

私の古くからの仲間の藤井聡君(京都大学教授・都市工学)は、東日本で大震災が起きる時は、それに前後して10年以内に首都直下地震が100%起きるというXデーが、そして連動して西日本側の大震災・Xデー2が起きる可能性が高いこと、それに富士山の大噴火を去年の国会・予算委員会にも呼ばれて言い続けています。ですが、消費増税問題だけでほとんど何も動きはありません。
この体たらくです。

金美齢先生はかつて、国籍がないという辛酸をなめてもこられました。先生から見たこの一年、そして現状について等々、忌憚のない辛口のお話しを最初にお伺いさせていただきたいと思います。過去は決して過ぎ去らせてはいけないものもあるはずです。
金先生、お願いいたします。

金美齢先生基調講演
こんばんは。満開の桜がきれいでお花見しながらやってまいりました。実は何が起こってもお花はちゃんと咲くんです。救いなんですね。

03
(会場から見た外堀周辺の桜)

台湾の2008年の総統選挙で私が支持する民進党、シンボルカラーはグリーンで、私はよくグリーンの洋服を着るんですが、2008年3月に大敗しました。3月に日本に帰ってきて、靖国神社を通って、この九段の道をずっと歩いて思った、「不満の春でも桜が咲く」というコラムを産経新聞に出しました。これは、ジョン・スタインベックというアメリカの作家が書いた「われらの不満の冬」というシェークスピアの「リチャード三世」からの引用なんですが、それを少し意識して書いたものです。私はあの2008年の春は「われらの不満の春」なんだけれども、それでも桜は咲くんだ、という感慨深い春でした。私は、あまりにも惨めなあり方だったのでかなり失望したんです。台湾の多くの人間が、何故、こんなにだらしがないのか、ということでとても失望しました。選挙が負けた翌日、日本に戻ってきたんですが、空港には中国寄りのテレビ局がたくさんいまして、インタビューを受けました。そのとき、「ほら見ろ、大敗だったろう」といわんばっかりに言われたとき、「私は台湾人を辞めます。何故なら、このまま台湾人になっていると、いつかは中国人になることになるから。私は死んでも中国人にはなりたくない。だから台湾人を辞めます。どこの国の人間でもいいが、中国人にだけはなりたくない」と言って空港でのインタビューを終えました。そのとき、藤原正彦さんのご夫妻が私に付き添ってくれていて、彼は私の荷物のカートをしてくれていました。あの失意の中でも私の荷物のカートをしてくれていたのが藤原正彦さんで、東京に戻ってきたら満開の桜が咲いていたのです。

私は毎年、新宿御苑の花が見えるものですから、お花見のパーティを自宅でしますが、さすがに昨年はやめました。でも、お花はちゃんと咲いているんです。
この会合も実は去年の4月に行うはずだったんですが、キャンセルになりました。あの大震災で、キャンセルになった講演が4つありました。1つはこの会合で、もう1つは仙台でやる東北6県のPTA総会。もう1つが静岡の青年会議所の主催するもの。もう1つは平戸のロータリークラブの記念集会。この4つがキャンセルになりました。
この際だからやりましょう、という会合も実はかなりあったんです。キャンセルになった4つの会合で、この会が1年遅れで今日集まり、平戸はロータリークラブ設立何10周年という記念のお祝いでした。ですから1年遅れでというわけにはいかず、再開はできなかった。私はゴールデンウイークは大体、遠出しています。実は昨年のゴールデンウイークは、ニューヨークに行くことにしていました。でも、平戸から話が来たとき、私は思ったんです。ニューヨークにはよく行きますが、平戸には一度も行ったことがありません。そんなに強く興味があるわけではありませんが、少なくとも台湾とゆかりがある鄭成功(ていせいこう) 註1が生まれた地をこの目で見ておきたかった。歴史を自分の目で確かめたかった。千葉さんが仰った「プッシュボタン」の今の人生・生活ではなく、私は常に現場に足を運ぶことをモットーにしています。ニューヨークか平戸かという選択で私は平戸を選びました。それが見事にキャンセルになった、究極の選択をしたにもかかわらず。

先ほどの青年商工会議所の会合は数ヶ月遅れでやりました。仙台の東北6県のPTA総会は、6月だったのですが9月にやりました。「やっぱりやりたい。つきましては…」と私の事務所のスケジュール担当者と向こうの主催者が話しをしているのが聞こえるんです。聞こえるというよりは、私は勘がいいから分かるんです。「つきましては…」何が言いたいのか─予算がきっと足りないんだろう、だからお約束した講演料は払えませんと言いたいのだと分かりました。大震災の後、何人来るか分からない。
04

「普通は1000人くらい集まるのですが、それだけの会費も集まるんだけれども、今年に限ってはほんとに分からないので…」と言いかけたんです。私は担当者に「ボランティアで行くと言って」と一言いいました。
それで結局何人来たと思いますか? 例年はコンスタントに1000人集まる、今年はこの大震災の後だから参加者が減るだろう、そういう見通しの下に行ったのですが、その日集まったのは1800人です。あれだけの大災害の後に、皆さん何を考えたか。確かめたいのです。毎年会っているあの方は大丈夫だったか、安否が尋ねられないんです、気持ちの上で。で、大会に行って皆さんの顔を確かめる、または、改めてそこでお互いに連帯をする、気持ちを皆さんで確かめる、そのためあの大災害の後、1800人集まったのです。みんなびっくりしました。主催者もびっくりしたし、勿論、来た方々もびっくりしたし、私もびっくりしました。でも分かるような気がします。こういう時だから行きたい、こういう時だから皆の顔を確かめたい。あの人は元気だろうか、と。感動的でしね。やっと使えるようになった会場大ホール、満員の人でした。
約束通り、ボランティアでやってまいりましたが、県庁の生涯教育担当者が「若いお母さんにこそ、この話を聞かせたい」と言っていました。震災で見えてきたこと、例えば、この際だから皆さんの顔を見たい、連帯を確かめたいというような思いが、実は被災地の方にたくさんいらっしゃるんです。この際だから出かけましょうと。それを被災地以外の私たちがどうなのかということです。たくさんの義捐金も寄せられたし、ボランティアも出かけて行ったし、真剣に何ができるかを考えておられる方もいらっしゃるし、現にそれを行動であらわした方もたくさんいる。でも、実は、自分だけselfishであるか、自分だけよければいいという人間がどれだけ多くいるか。口では何とかしなくちゃいけないと言っている多くの人が、瓦礫の処理をする場合に「ノー」と言うんですよ。地方自治体の長が「やる」と言っても、何人かの人が「危ないからだめだ」という反対の意見を述べる。ほんの一握りの反対の意見に、恐れをなして瓦礫の処理を引き受けない。どれだけ建前と本音の落差が見えてきたか。そういう例をいっぱい見てきて、どこまで日本人が「劣化」してきているのかな、ということを思わされることがたくさんありました。

震災後まもなく、実は、福岡の修猷館註2(しゅうゆうかん) という旧藩校、ピカ一の県立高校なんですが、そこの先生が覚悟して修学旅行を来年(つまり今年になりますが)、今までのようにスキーに行くのではなくて、被災地に行こう、そうやって現場で押しボタンではなく、テレビで見るのではなく、自分の目で確かめるために行こうと。少しは現地で消費もするだろうからと。学校の先生がそれだけの覚悟をするっていうことは、珍しいことなんですよ。学校の先生っていうのは、なるべく事なかれで、なるべく問題が起こるようなことをやらないようにするという流れの中で、この県立高校の先生は見事ですよ。実は福岡の県立高校の先生方の中には、たくさん志のある方がいらっしゃるんです。福岡の教育連盟というのをつくって、日教組より遙かに組織率が高いんです。県立高校のトップの先生が、修猷館の先生が覚悟を決めて子ども達を連れて行こうとした。で、保護者会で保護者を集めて説明をしたんです。来年の修学旅行は例年通りのスキーではなく、災害地に行くと。反対意見として「危険だから」というのは正直です。ですが、何と言ったか。「災害地は見世物ではありません」。そういうようなexcuse口実で行くのに反対だと言った親もいる。それを朝日新聞の一面に載っているのを九州新幹線の中で読みました。私はそのとき思いました、「福岡の人間もこのざまか」と。それだけではない。しばらくたって、福岡で被災地の食品販売をやりたいと言ったら、20人ほどの人が反対して取りやめになった、というニュースがありました。九州、福岡の人間がこうなんです。

05

日本の被災地ではないところに住んでいる人たちから、被災地のために応援しなくてはと声が聞こえる反面、いざ、ひょっとしたら自分に放射能の弊害がかかるかも知れないといったら、100%「ノー」。また、京都で被災地の木材を燃やすことについてとか、ノーというニュースがいっぱいありましたよね。
こういうようなニュースを見ていると、私がつくづく思ったのは、日本人がどれだけ劣化していて、そしてその劣化した人間がどれだけの発言力があって、そのノーと言っている人間が何人かいると廻りがイエスと言えなくなる。特にトップに立っている人間が、そういう声に配慮して自分がやりたいことが出来なくなる。石原慎太郎ぐらいですよ、反対意見が来ても関係ない、やると言ったらやる。それがリーダーシップというものなんですよ。日本を悪くしているnoisy minorities ノイジィ・マイノリティ─これは私の造語です─マイノリティなんだけれども声が大きい人たちに日本の社会は影響を受けている、というか攪乱されている。この状況が日本人の一番、問題点であり、silent majority サイレント・マジョリティ─声なき声ということを岸信介さんが言いました。私に言わせると、そのサイレント・マジョリティの人間が卑怯なんです。自分はイエスだと思っているのに言わないんです。先頭に立って言わない。何かをやると叩かれる、これがサイレント・マジョリティであり、今の日本の最大の問題はこのサイレント・マジョリティです。
日本の未来を何とかしなくてはいけない、ということは今そういう人たちが声を出さなくてはいけないんです。

千葉先生が、「小さい組織ですけれど」と仰ったけれども、どれだけこれだけのことをやるのに手間暇がかかるか。例えば去年、私を説得しなくてはいけないんですよ、実は。私は去年一年間めちゃくちゃ忙しかったんです。実際に約束するということは中々出来ないんです。約束したら絶対出て行かなくてはいけない、というのが私のポリシーです。だから約束をするということに私は躊躇するんですよ。約束を私にさせるために、どれだけ千葉先生は私の所に通ってきたり、何したり、かにしたりで、さらに今回二回目ですからそれなりのご苦労も当然ありました。私が偉いとか言っているのではなくて、スケジュールの中でどういう風にやるか。これだけの会合をやるために、どれだけの時間と経費と、エネルギーがかかるかということなんです。声を上げるということは大変なことなんだけれども、でも、上げなければいけないんです。それをやるかどうか。やった人がいたら、それをどう助けるか。これなんですよ、今、私たちに必要なのは。この一年を見ていて、実は、あの大震災は神からの劣化していく日本人に対しての、ある種の警告だと石原慎太郎が言ってバッシングを受けましたが、でも、曽野綾子さんも同じようなことを言っています。私も同じようなことを言っているんですよ。あれだけの大災害で、あれだけの悲劇が起こって、もし私たちがそこから何も学ぶことがなければ、そこで私たちの生活を省みて、過去をもう一度思い起こして、私たちが歩いてきた道が一体、どこが正しくてどこが間違っていたかということを、もし、反省の縁(よすが)にしなければ亡くなった方々に申し訳ない。ですから、石原慎太郎さんが言ったことは正しいんですよ。だけども、それは大変なバッシングを受けたわけです。亡くなった方々への冒涜だとか何だとか言って。私たちは起こったことにはどうしようもないんです。どうすることも出来ないんですよ。だけども起こったことから、私たちが何を学ぶかということで、ある意味では、せめてもの供養だったり、せめてもの貢献だったり、せめてそこから何がしかの教訓を得ることによってあの方々への慰めにもなるのではないか。

では、私が何を学んだか。私はいろいろな、例えば第二次世界大戦であるとか、台湾での蒋介石の一党独裁であるとか、二二八事件註3であるとか、いろんな意味で歴史上の出来事、苦難、災害、そういうものを子どもの時代から見てきました。

06

直接、身に降りかかったわけではないけれども、そういうことが起こった中で生きてきています。日本でも終戦を体験され大変な時代をおくってきた方がたくさんいらっしゃるわけですが、多くの方が戦後に生まれて日本がどんどん復興し、経済大国になっていく中で生きてきた。千葉先生の言葉を借りると、ボタン一つ押せば、すべてが可能みたいなそういう時代の中で生きてきた人に比べれば、比較的、私はいろんな経験をしてきました。少なくとも国籍が2回変わるわけですから。日本人から中国人になり、私は中国人であることを拒否して、台湾人と言ってきた訳ですけれども、そこからまた日本の国籍を取るわけですから、結局、人生の中で、国籍が2回変わるということ自体が大変な経験なんですよ。おそらく皆さんが想像できないような、そういう経験なんですね。台湾での一党独裁の元で日本にやってきて、翌年が60年安保。その60年安保を迎えたのが早稲田の文学部キャンパスでした。それがまたある意味では大変な経験でした。でも、どんなことが起こっても、そこから何も感じない人間というのはいるんですよ、世の中には。今の日本人の多くは、特に若者、いやそう言っちゃ悪いですね、日本人の多くは何が起こっても感じない人が多いんです。無関心、だから劣化するんです。私はその場その場でいつも考え、体験したことをどう受け止めるかということで、ある意味では真剣に考え悩んで生きてきたから、だから今日があるんだと私は思っています。だから今度の震災に関しても、もし、多くの大多数の日本人が、このことによって自分が何を考え、今までの自分の生き方がどうなのかということを、もし、振り返ってみる、反省してみるような、そういうようになるとしたら、それじゃ今後どうしようかと真剣にみんなが考えるようになったら、私は日本の未来は明るいと思います。でも、それが出来ているかどうかというと、出来ていないと言わざるを得ない。先ほど言いましたように、一方では震災地からは1800人の人が集まってお互いの安否を確かめ、お互いの連帯を確かめようとする人々がいる。実際に災害に遭った方々が、前向きに生きようとしている。また一方では、災害から免れた遠くに住んでいる方々がノーと言っているわけですよ。それを考えたとき、そういう人たちが大多数であるなら、私は日本の未来というのはほんとに暗いな、と思うんです。
ノーと言っている人たちに、「そうじゃないだろう。可愛い子には旅をさせろとあるじゃないか。この際だから災害地に行こうという先生の決断を、見事だと思い敬意を表し、サポートしなきゃいけないだろう」という親がどれだけいたか、ここにかかっているんです、ここに。私たち一人ひとりがそういう決断を迫られたとき、何を考え、何を言い、そして行動するか。過去、現在、未来ということをつねに考えるというのが、この会のある意味では役割でしょうけれども、過去はもう変えることが出来ないんです。でも過去から何を学び、今、私たちがどういう行動をとるかによって、未来は変わってくるんです。何故なら、それは私たちが決めることだから。

私がまだ学部の学生だったころ、東大に留学している台湾の留学生の集まりがあったんです。当時、農学部の博士課程の人が、言うならば非常に左がかった人で、台湾の学生をオルグつまりオーガナイズしようとして勉強会をやろうということでした。私は早稲田だから最初はまったく関係なかったんだけれども、好奇心が強いところもあって、行動すること、また現場が好きなものですから早稲田からたった一人参加したんです。そのとき、主催者の奥さんが一度出てきたきりで、最後まで参加した女性は私一人だけでした。

08

そのときのことが忘れられない。その主催者が言ったんです、「必然的に、歴史の必然として資本主義は崩壊して社会主義になる」と。私は当時、まだ学部の2年生か3年生-pale babe-まだ可愛かったですよ、違う学校から来て。彼は弁が立つ人で、「必然的にそうなる」と言ったとき、私は言ったんです、「歴史は人間がつくるんですよ」と。「必然なんてない、歴史の必然としてどうこうと言うのはおかしいんじゃない」。そのときから私は感じていました。「あっ、この人が左派だから台湾は中国と一緒になるべきだと信じている人だな」と第六感ですぐ分かりました。
私は違う。台湾は台湾でなければいけないとずっと思っていましたから。彼に対して歴史の必然というものはない、将来がどうありたいかを考える、これが人間としての役割であると言いました。
同じ言葉を言いたいと思います。つまり、今、私たちが何を考え、何を決め、どう行動するかによって未来が変わってくると私は思うんです。このまま日本を劣化させてはいけません。非常にeasyな生活をして、ボタンさえ押せば何でも叶うなんていうことは、間違いなく人間を劣化させます。千葉先生の仰ったとおりです。ですから私たちが何を考え、結果、決断をし行動をしなくてはいけないというふうに私は思っております。

総合司会

金先生、有難うございました。(拍手) 伺った話だけでも背筋がピンとするような気がいたします。では、引き続きまして第二部に移らせていただきます。ここからは金先生と千葉糺の対談でございます。なお、対談終了後にはティータイムをはさみまして質疑応答を設けておりますので、よろしくお願い申し上げます。それでは対談を始めさせていただきます。金先生、千葉先生よろしくお願いいたします。
(以下、次回配信)

註1:鄭成功 (ていせいこう)1624 - 1662 長崎県平戸・川内(かわち)の出身。父鄭芝龍と日本人の母田川松の間に生まれた。幼名を福松(ふくまつ)と言い、幼い頃は平戸で過ごすが、7歳のときに父の故郷福建につれてこられる。中国の明が衰退し、清が勃興した動乱期に「抗清復明(こうしんふくみん)」をかかげ活躍した人物。国姓爺(こくせんや)と呼ばれ、オランダ支配下の台湾を制圧し、台湾の国土開発に尽力したことは有名で、その偉大な功績は近松門左衛門の戯曲「国姓爺合戦」のモデルになっている。(平戸市ウエブサイトから)

註2:福岡藩の藩校東学問所の学館名。1784年藩主黒田斉隆の代に設けられた。明治4年に廃校後、旧藩主黒田長薄が旧藩士金子堅太郎らと修猷館再興に尽力。1818年英語専修修猷館を設置。のちに改称・移転を経て、1933年福岡県立修猷館高等学校となる。(日本歴史地名大系41

註3:1947228日に台湾で起きた、民衆による反国民党暴動。腐敗官僚による専制支配と社会経済秩序の混乱、台湾人への蔑視・差別に対する怒りが爆発したもので、武力弾圧により2万人以上が犠牲になり、外省人と本省人の対立を生んだ。(広辞苑)


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プロフィール

marchan

Author:marchan
千葉 糺(ちばただす)
1947年生

東京理科大学大学院修了(数学・複素関数論専攻)
平成14年~18年度学習院中等科長・高等科長。任期満了の後、学習院高等科教諭(平成19年~24年度)を経て
学習院名誉教授。

(写真は雑誌『Shi-Ba』V.43
から。黒柴マーちゃん,
愛猫いっちゃんと)

国画会彫刻家 故・千野茂氏にデッサンを学び、その後テンペラ画を中心に個展、グループ展等開催。

時間を見つけて谷中「全生庵」坐禅会参加。日本ユダヤ学会会員。
2007年、イスラエルを中心に旅行。


最近の紀要論文
(1)『イエス・千日で世界を変えた男の受難』─「『事実』と『真実』というaporia」─
学習院高等科紀要第5号(学習院高等科 2007年)

(2)『イスラエル・灼熱の旅 リポート』─荒野の民から学ぶ─
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)

(3)『ナザレのイエスはキリストか』=二千年前の一ユダヤ人の死をめぐる過ぎ去ろうとしない「過去」=
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)
(4)『ユダヤ灼熱の旅リポート2』
─平和ボケの民と臨戦態勢の民─
学習院高等科紀要第7号(学習院高等科 2009年)
(5)『聖書への旅』─「生きること」の意味を探して≪マタイ受難曲を聴きながら≫─
学習院高等科紀要第8号(学習院高等科 2010年)
(6)「パリサイ派とは何か」─現代に問う
補遺 聖書を側面から理解するために
学習院高等科紀要第9号(学習院高等科 2011年)
(7)─横顔・一七世紀オランダ絵画・印象派─西洋絵画についての一考察
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(8)聖書が私に教えてくれること
─『イザヤ書』、コルベ神父、そして山本七平─
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(9)四十年を振り返る
学習院高等科紀要第11号(学習院高等科 2013年)
(10)『院歌の周辺』 ─安倍能成 信時潔 岩波茂雄 頭山満─(学習院高等科 2014年)
(11)『ヘブライ語で学ぶ創世記Ⅰ』「ノアの箱舟」
(12)『これからの教育はどうあるべきか 数学者・秋山 仁先生との対談』(学習院高等科 2015年)
─ 今まさに問われていること ─
(13)『国際化とInternationalizeの狭間で』
─その大いなる溝─(学習院高等科 2015年)
(14)『これからを生きるために』─未来志向の経営の理念─(学習院高等科 2016年)
(15)『地球儀を傍らに』─教職追放 地政学 国際法 民主主義─(学習院高等科 2016年)

(写真は死海での筆者,
シナイ山頂での夜明け)

「現代社会の問題を糺し未来の扉を開く会」

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