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仙台・石巻・閖上記1

『仙台・石巻・閖上記1』



私たち会の役員4人は仙台に一泊し、翌日11月20日車で約150キロにわたって被災地を見て回った。もう一ヶ月以上前になる。
その報告をブログでお知らせすると言いながら、今日に至ってしまったのは、仕事に追われていたことは事実であるが、本当の理由は「書けなかった」からである。
「何から書いていいのか分からない」という言い方がより正確であろう。
とは言っても、報告をきちんとするのが今回の視察の目的の一つであるので、戸惑いながら述べていくことになる。

初めは仙台から北上して石巻港周辺を、次に南下して名取市閖上(ゆりあげ)港周辺に行った。
どちらも震災前は有名な漁港である。
この2か所は知人から「石巻を見ておいた方が良い」と聞いていたこと、仙台に住むご夫妻からは「閖上に行かれれば」と教えていただいたことによる。自らの目、耳、肌で被災地の状況を記憶しておかねばと思っての些か強行スケジュールだった。
かつての復興担当大臣の辞任につながる問題発言が生々しく思い出される。
7月には

「(国は)知恵を出したところは助け、知恵を出さないところは助けない」
「九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からん」
「それから、お客さんが来る時は自分が入ってからお客さん呼べ。いいか? 自衛隊ならそうやるぞ。わかった?」と知事を叱責。
最後に「今の最後の言葉はオフレコ。書いたらその社は終わりだから」

と記者団を抜け目なく恫喝したのにもかかわらず、問題が噴出して辞任。
10月には後任大臣が

「私の高校の同級生みたいに逃げなかったバカなやつがいる」

と津波被害について語り辞任。
こんな発言は書きたくもないが、私たちが記憶しておく必要はあろう。

順に述べていく。
震災の後、5月仙台青葉区花京院に住む70代の夫婦の夫の方が亡くなられた。地震による生活環境の変化に老々介護の身ではついていきことが無理だったのであろう。ご焼香に行ってなかったので石巻に移動する前に墓前に手を合わせた。残された夫人がやつれられて、以前よりひとまわり小さくなられたような気がした。ここにも震災の被害者が、「あれは天災だったのだ」と自らに言い聞かせて、一人ひっそりと暮らしている。
たった一人の生活なのに何も手につかないのか、部屋が雑然としているのが気になりながら車に乗った。


仙台の道路は東京並みに交通量が多く、驚いた。他の道路が完全に通っていないため、大きな幹線道路に集中して流れ込んでくるのかもしれない。交通量や市内の活気さから、仙台は何事もなかったかのようなに錯覚するほどだった。

これから仙台から数十キロしか離れていない、石巻、閖上と海岸沿いに移動したことを中心に記していくことになるが、気になって仕方がないことが2,3ある。「書けない」ことを克服するためにそれらのことについて述べながら話を進めていきたい。

仙台001


石巻にも閖上にも共通したものがある。
それは「何もない」という強烈な第一印象である。
あるのは雑草が生えた原野である。犬も猫もいない。

私たちは何カ所かでお清めの塩捲き、お酒を地にかけ、合掌した。

仙台002


元来、こういう土地だったと言われれば信じてしまうような原野である。
ただ目を凝らすと、足下にカモメの死骸が水溜まりの中に沈んでいた。
船舶が原野に横たわっているのも異様である。ある立派な無人の建物の前で車を止めたら、「名取市斎場」と書かれていた。

仙台003


私は、『バベルの塔』を脳裏に浮かべてこの地に足を踏み入れた。『バベルの塔』、それは民が全貌を掴むことなく、後ろを振り返ることなく、必死に絶望的努力をしている姿と言うこともできよう。だが、ここは違う。

仙台004
写真は名取市斎場

「復旧ではなく復興を」と言い続けることの虚しさが心に突き刺さる。
「復興」とは「一度衰えたり壊れたりしたものが、もう一度盛んになること」を言う(『新明解国語辞典』)。安易に発する言葉ではない。
役員の一人は「ここに建築家・安藤忠雄を立たせても、何ら復興構想など浮かばないだろう」と絞るような声で呟いたのが今でも耳に残っている。別の役員は「復興とは瓦礫を集めることだったのではないか」とも言った。阪神・淡路の震災後、翌日現場にかけつけた役員は「あのときとは全然違う」と呟いていた。
私はここは旧伊達藩だったと思ったとき、昨年末現れた「伊達直人」つまり「タイガーマスク」なる「善人」の心温まる「美談」の主は、今なぜ現れないのかと思った。かつて本ブログに「タイガーマスク現象」を批判的に書いた。地味な継続性のない思いつき、一時の楽しみを賛美した無責任さを思い出してしまった。

最初に「気になって仕方がないことが2,3ある」と書いたが、その一つはある唱歌があのときから脳裏を離れないのである。その唱歌とは『荒城の月』である。どこでそれを感じたのか分からないが、あの歌詞、メロディーが帰路の新幹線内でも、その後の犬の散歩のときもふと思い浮かんできた。なぜだろう。歌詞の意味は正しく理解していないままである。

『荒城の月』
土井晩翠作詞・滝廉太郎作曲
1.春高楼(こうろう)の花の宴(えん)
 巡(めぐ)る盃(さかずき)かげさして
 千代(ちよ)の松が枝(え)わけ出(い)でし
 昔の光いまいずこ

2.秋陣営(じんえい)の霜の色
 鳴きゆく雁(かり)の数見せて
 植うる剣(つるぎ)に照りそいし
 昔の光いまいずこ

3.いま荒城の夜半(よわ)の月
 替(かわ)らぬ光たがためぞ
 垣に残るはただ葛(かずら)
 松に歌うはただ嵐(あらし)

4.天上影は替らねど
 栄枯は移る世の姿
 写さんとてか今もなお
 嗚呼(ああ)荒城の夜半の月


そこで『さくら』と共に日本の歌として、世界に知られているこの曲について少し詳しく文献を読んで私なりに調べてみた。次回は、仙台地方に関係の深いこの『荒城の月』について述べてみたい。



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プロフィール

marchan

Author:marchan
千葉 糺(ちばただす)
1947年生

東京理科大学大学院修了(数学・複素関数論専攻)
平成14年~18年度学習院中等科長・高等科長。任期満了の後、学習院高等科教諭(平成19年~24年度)を経て
学習院名誉教授。

(写真は雑誌『Shi-Ba』V.43
から。黒柴マーちゃん,
愛猫いっちゃんと)

国画会彫刻家 故・千野茂氏にデッサンを学び、その後テンペラ画を中心に個展、グループ展等開催。

時間を見つけて谷中「全生庵」坐禅会参加。日本ユダヤ学会会員。
2007年、イスラエルを中心に旅行。


最近の紀要論文
(1)『イエス・千日で世界を変えた男の受難』─「『事実』と『真実』というaporia」─
学習院高等科紀要第5号(学習院高等科 2007年)

(2)『イスラエル・灼熱の旅 リポート』─荒野の民から学ぶ─
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)

(3)『ナザレのイエスはキリストか』=二千年前の一ユダヤ人の死をめぐる過ぎ去ろうとしない「過去」=
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)
(4)『ユダヤ灼熱の旅リポート2』
─平和ボケの民と臨戦態勢の民─
学習院高等科紀要第7号(学習院高等科 2009年)
(5)『聖書への旅』─「生きること」の意味を探して≪マタイ受難曲を聴きながら≫─
学習院高等科紀要第8号(学習院高等科 2010年)
(6)「パリサイ派とは何か」─現代に問う
補遺 聖書を側面から理解するために
学習院高等科紀要第9号(学習院高等科 2011年)
(7)─横顔・一七世紀オランダ絵画・印象派─西洋絵画についての一考察
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(8)聖書が私に教えてくれること
─『イザヤ書』、コルベ神父、そして山本七平─
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(9)四十年を振り返る
学習院高等科紀要第11号(学習院高等科 2013年)
(10)『院歌の周辺』 ─安倍能成 信時潔 岩波茂雄 頭山満─(学習院高等科 2014年)
(11)『ヘブライ語で学ぶ創世記Ⅰ』「ノアの箱舟」
(12)『これからの教育はどうあるべきか 数学者・秋山 仁先生との対談』(学習院高等科 2015年)
─ 今まさに問われていること ─
(13)『国際化とInternationalizeの狭間で』
─その大いなる溝─(学習院高等科 2015年)
(14)『これからを生きるために』─未来志向の経営の理念─(学習院高等科 2016年)
(15)『地球儀を傍らに』─教職追放 地政学 国際法 民主主義─(学習院高等科 2016年)

(写真は死海での筆者,
シナイ山頂での夜明け)

「現代社会の問題を糺し未来の扉を開く会」

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