Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://mar2002.blog92.fc2.com/tb.php/25-091e5e34

トラックバック

コメント

[C5] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

観光学から学ぶ(1)

観光学から『易経』までを駆け抜ける(1)



ある夕べ、北海道大学大学院観光創造専攻長・石森秀三教授の講演を拝聴する機会に恵まれた。題名は「日本における観光立国は成就できるか?」(以下、石森先生とする)。
そもそも「観光学」という分野については全くの無知の私であったが、1時間半にわたる講義の結果、心を揺さぶるものが多くあった。同席された40名近くの人々にとって非常に得るものが多く、あっという間に時間が過ぎていたと思われた。本会の活動と直接関係ないように感じられるかも知れないが、今後の若者が切り開く一分野になるのではと考え、また何より、折角の講義の内容をできるだけ多くの人々にもアナウンスできればと考え、2回にわたって本ブログで紹介させていただくことにする。


1. 私が何に惹かれたか


私が大きな関心を抱いたのは、講義の内容も然る事ながら、当日資料には書かれていない「観光」という語源について触れられた最後のところであった。石森先生は、「観光」の語源は『易経』に遡ると言われ、「国(くに)の光(ひかり)を観(み)る。用(もっ)て王に賓(ひん)たるに利(り)あり」という一節を紹介された。そして、この意味は

①「光」とは「民」を表し、その昔、地方の民が輝いているかどうか、視察して歩いたことから出来たという説。民が輝いていないと政治がうまくいっていないことの証だったことから、(見てまわることは)重要な仕事であったという説。
② 「光」とは「子ども」の意味で、諸国の子どもを見て歩いて優秀な人材を探す仕事を「観光」と言ったという説。


石森先生は、「観光」の語源は解釈としてこの二説があることを述べられた。①、②いずれにせよ、「観光」とは国のまつりごとを司る人間が、自ら視察して歩いて、政治がうまく機能しているか、あるいは優秀な人材はいないかを探すという、国家にとって非常に重要な任務だったということになる。現代の国家であるいは組織で、為政者が現場を見て歩いて、自らの政治あるいは業務に人々が輝いているか、苦しんでいるか足を運んでいる人間はどれだけいるだろうか。また、優秀な後継者育成、人材育成に気を遣う為政者がどれほど存在するだろうか。真っ先に浮かぶイエス時代の総督ポンティオ・ピラトも代表者の一人であるが、その2000年後の現代に至る歴史を顧みれば、ただ、ひたすらに在任期間中自らの地位が安泰であり、波風が立たなければと願っている人間の数がどれだけ多いことか。ならば、為政者が現場を視て歩くことの大事さを述べたという『易経』とは一体どのような書物で、何を述べたものなのか。石森先生が「観光」の語源について簡単に触れられたときから、大きな関心が私に生じたのである。石森先生の講義とは順序が逆になるが、「観光」の語源さらには『易経』について、そして中国(人)について、門外漢の人間が述べることから始めたい。


2.語源を調べる

『易経』の「易」とはそもそも何なのか。神秘的という言い方もあろうが、実は非科学的(「科学的」であることが正しいなどと言うつもりは毛頭ないが)な盲信、まったく根拠のない決めつけ、ある種詐欺的側面を持つものというイメージを抱く。黄昏時に道路脇に小机を置いて、もっともらしいコスチュームで拡大鏡を使ったり、細い数本の「お箸」のようなもの[1]をパラパラとさばいている「怪しげな」占い師の姿を思い浮かべてしまう。「観光」の語源が『易経』にあるというが、この「易」とは何かを調べてみたいと思った。
「観光」について『大漢語林』(大修館)には、

① その国の威光をよく観察する。[易経 観]
②転じて、よその土地の風景・風俗・文化などを見物する。[易経 観]


とある。やはりこの[易経 観]に突き当たる。「易」とは何かに突き当たる。それではまず漢字から調べてみようと『字統』(白川静 平凡社)を引いてみた。


『字統』からの抜粋

『字統』で「易」を初めとする幾つかの漢字について調べていくうち、「観光学」から次第に離れて『易経』さらには中国(人)について大いに関心を持ち始めた。その漢字について以下、述べてみる。

「易」

エキ・イ・あらためる・かわる・やさしい・あなどる
日と勿(ふつ)とに従う。日は玉の形、勿はその玉光を示す。蜥(せき)易(えき)(とかげ)を古く何らかの呪的な目的に用いることがあったとしても、そこから易の名義が生まれたとはしがたい

という。後述するように、ここでの「易」の意味は変易の意味である。

「易」という字は玉の光を表しているという。この一字だけでもこのように深い意味があることが分かった。では「国(くに)の光(ひかり)を観(み)る。用(もっ)て王に賓(ひん)たるに利(り)あり」にある「国」「光」「観」「賓」「利」これらの漢字はどんな意味なのだろうか、と関心が生じ、ますます「観光学」から離れていく自分を感じ始めていた。

「国」

コク・くに・みやこ
旧字「國」は、口(い)と或(わく)に従う。或は城郭の形である口を戈(ほこ)で守る意で、武装した城邑(じょうゆう)を示す。或にさらに外囲の口を加えたものが國で、もと国都をいう。國は国都で武装都市を意味する。ちなみに「邦」も「くに」というが、邦は封建によって作られたくに、「国(國)」は武装した城邑をいうとある。また、邦は領土、国は国都をいう


ともある。国家を論じる方々はこの字の意味を意識して論じるべきであろう。

「光」

コウ・ひかり・ひかる
火と儿(じん)とに従う。人の頭上に火光をしるし、火を掌(つかさど)る人を示す。火は古代において極めて神聖なものであったから、これを聖職として掌るものがあった



「観」

カン・みる・しめす
審(つまび)らかに観(み)る意。「観る」という行為には、呪的にその対象を支配する意味が含まれていた。


「観る」ということは、観察者である自分は当事者にはなれないという道理である。

「賓」

ヒン・まろうど・もてなす・みちびく・したがう
もとは客神を賓として迎えることを意味した。客とは異姓の客神を意味した。後に自分の家廟に属しないものを賓客と称した


「利」

リ・するどい・りえき
禾(か)と刀にしたがう。禾(穀物類)を刀で刈り取る意。すなわち禾を刈って利益とするを意味する


これらから石森先生が述べられた「観光」とは国のまつりごとを司る人間が、自ら視察して歩いて、政治がうまく機能しているか、あるいは優秀な人材はいないかを探すという、国家にとって非常に重要な任務だったということがやっと理解出来た。と同時に、では『易経』とは何なのかという疑問が浮かび上がってきた。中国という国を理解することはこれからあらゆる面で必要になる。ここからは名著『易の話』(金谷治,2009年 講談社学術文庫)を大いに参考にして、「易」についてさらには中国について考えてみたい。


3.『易の話』から


「当たるも八卦当たらぬも八卦」という言葉あるが、この八卦から述べみたい(専門外の至らない点はお許しいただきたい)。八卦のもとは結記号:─であらわす陽性の符号と記号- -であらわす陰性の符号との組み合わせである。奇数と偶数とをあらわすものだともいえる。 この「卦」という字は、再度『字統』によれば、
「卦」

カ・カイ・ケ・うらかた・うらない
地に画して爻(こう)をしるすことをいう


とある。
その「爻」とは
「爻」

コウ・まじわる
木を交叉した形。千木形式の屋根のある建物の形。卜辞においては爻を学の初文として用いている。学はメンズハウスで、一定年齢のものがここに隔離された生活をして、氏族の伝統や秘儀について学習する秘密講的な施設であり、それが学校の起原であった


とある。
私なりに解釈すると、陽性記号─と陰性記号- -の最も単純な組み合わせ
─,- -
を二卦(陽か陰か)、その倍の
─・─,─・- - ,- -・─,- -・- -
を四卦という。さらにその倍が八卦である。これは
─・─・─から- -・- -・- -
までの八通りの組み合わせある(三つ全部が陽・陽・陽から三つ全部が陰・陰・陰まで)。これを三画の卦という。これは単純すぎると考えたらしく、六画にして八卦の二乗で六十四卦を作り、それで全体の構成が考えられることになった。そして六十四通りにそれぞれ文字と意味を対応させていった。例えば、六個の─(陽)が並んだものには、乾[剛健,天,父,男](元(おお)いに亨る。貞(正)しくしていると利(よろ)しい)と言うようにである。私はここに中華・中国思想の原点を垣間見たような気がする。彼らはあくまで現世世俗的解決の場を求めていくのである。本来、易とは変易を意味するともされるように、易の全体が変化だということもできる。『易』の書名の英訳は『The Book of Changes(変化の書)』なのである。
『老子』のことばとして「禍(わざわい)は福の倚(よ)るところ、福は禍の伏(かく)るるところ」というのがある。それをもっと具体的にしたのが
「人間(じんかん)万事塞翁(さいおう)が馬」
である。簡単に説明しておく。

塞翁すなわち辺境に住む翁の人生の知恵の話である。翁の家で一頭の馬が塞外に逃げた時、翁はこ の禍がかえって福のもとになるかも知れないといった。しばらく後、そのことばどおり、馬は数頭の野生の馬をつれて帰ってきた。人びとがそれを祝うと、翁はこれが禍のもとになるかも知れませんと答える。果たしてそのとおり、馬好きになった息子が落馬して足を折った。人びとが悔みをい うと、 翁はまたこれが福のもとになるかも知れませんと答える。しばらくして戦争が起こった。辺境の若者はみなかり出されて戦死したが、足の悪い息子だけは助かった。

「禍福は転々として糾(あざな)える縄のごとし(二本をより合わせた縄のようだ)」ともいう。それは、中国人のあいだでひろく認められる人生の英知である。
変転の激しい人生に対する強靱な生活力がある。そして、それが変動と循環という易の思想とも関係しているのである。
『易』は確かに『変易(化)の書』であった。ただ、その変化は、まっすぐに無限に進展していく変化ではなく、それは循環であった。あくまで現世世俗的な思想なのである。私には六十四の卦よりもこの発想・思想に現代に通じる中国人の源流をみた気がして、強く惹かれるものがある。

(以下次回配信)









[1] めどき(めどぎ)【筮】:占いに用いる細い棒。蓍萩(めどはぎ)の茎50本を一組として用いる。後世は多く竹で作り、これを筮竹(ぜいちく)という。『広辞苑』
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://mar2002.blog92.fc2.com/tb.php/25-091e5e34

トラックバック

コメント

[C5] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

marchan

Author:marchan
千葉 糺(ちばただす)
1947年生

東京理科大学大学院修了(数学・複素関数論専攻)
平成14年~18年度学習院中等科長・高等科長。任期満了の後、学習院高等科教諭(平成19年~24年度)を経て
学習院名誉教授。

(写真は雑誌『Shi-Ba』V.43
から。黒柴マーちゃん,
愛猫いっちゃんと)

国画会彫刻家 故・千野茂氏にデッサンを学び、その後テンペラ画を中心に個展、グループ展等開催。

時間を見つけて谷中「全生庵」坐禅会参加。日本ユダヤ学会会員。
2007年、イスラエルを中心に旅行。


最近の紀要論文
(1)『イエス・千日で世界を変えた男の受難』─「『事実』と『真実』というaporia」─
学習院高等科紀要第5号(学習院高等科 2007年)

(2)『イスラエル・灼熱の旅 リポート』─荒野の民から学ぶ─
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)

(3)『ナザレのイエスはキリストか』=二千年前の一ユダヤ人の死をめぐる過ぎ去ろうとしない「過去」=
学習院高等科紀要第6号(学習院高等科 2008年)
(4)『ユダヤ灼熱の旅リポート2』
─平和ボケの民と臨戦態勢の民─
学習院高等科紀要第7号(学習院高等科 2009年)
(5)『聖書への旅』─「生きること」の意味を探して≪マタイ受難曲を聴きながら≫─
学習院高等科紀要第8号(学習院高等科 2010年)
(6)「パリサイ派とは何か」─現代に問う
補遺 聖書を側面から理解するために
学習院高等科紀要第9号(学習院高等科 2011年)
(7)─横顔・一七世紀オランダ絵画・印象派─西洋絵画についての一考察
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(8)聖書が私に教えてくれること
─『イザヤ書』、コルベ神父、そして山本七平─
学習院高等科紀要第10号(学習院高等科 2012年)
(9)四十年を振り返る
学習院高等科紀要第11号(学習院高等科 2013年)
(10)『院歌の周辺』 ─安倍能成 信時潔 岩波茂雄 頭山満─(学習院高等科 2014年)
(11)『ヘブライ語で学ぶ創世記Ⅰ』「ノアの箱舟」
(12)『これからの教育はどうあるべきか 数学者・秋山 仁先生との対談』(学習院高等科 2015年)
─ 今まさに問われていること ─
(13)『国際化とInternationalizeの狭間で』
─その大いなる溝─(学習院高等科 2015年)
(14)『これからを生きるために』─未来志向の経営の理念─(学習院高等科 2016年)
(15)『地球儀を傍らに』─教職追放 地政学 国際法 民主主義─(学習院高等科 2016年)

(写真は死海での筆者,
シナイ山頂での夜明け)

「現代社会の問題を糺し未来の扉を開く会」

検索したいキーワードを入力して、「検索」をクリック

Basic Calendar

<06 | 2018/07 | 08>
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

FC2ニュース

今日の天気は?


-天気予報コム- -FC2-
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。